カバーイラストレーション(表1)
Design: 渡邉 雄哉
Illustration: さかきくみこ
皆さま、企画展「不思議な少年44号」へお越し下さいまして、ありがとうございました。展示されていたカバーイラストレーションと挿絵をup致します。(Thank you for coming to our exhibition "The Bookcover Artwork for No.44 the Mysterious Stranger by Mark Twain". This illustration is my work.)
「ぼくは珍しいおもちゃで遊んでいるから、もしそれがお邪魔でなかったらね」
と44号と名乗る謎の若者がジューズハープを取り出すシーンをカバーイラストレーションに引用。渡邉さんとのミーティングで「皆をおもちゃの様にもてあそぶ44号」と「ジューズハープであそぶ44号」をかけてみることにしました。そこへ踊り狂う44号とロックスターのライブパフォーマンスが重なります。
ロックなムードをアピールするために、渡邉さんはいろんなアレンジ・工夫をして下さいました。フォントがキラキラしてるでしょ? 帯のフォントの危うい感じも「何をしでかすか分からぬ44号」がいい具合に表現されていますよね。渡邉さん、ありがとうございます。
作者マーク・トウェイン時代のヒットメーカーの一人といえばスティーブン・フォスターで、インスピレーションを得るべき音楽は物語にも出てくるミンストレル・ショー(音楽)であるべきなんでしょうけど。
ミンストレル・ショーというのはステレオタイプに黒人を風刺したドタバタ劇。奴隷制度廃止運動の頃に生まれ、差別的な風刺がさらに露骨になったと聞きました。今ではよろしくないことですね。初期の頃は白人が黒く顔を塗って、南北戦争後は黒人が演じました。なので、トウェインの頃はアフリカ系アメリカ人の俳優さんが出ていたのかも。
Novelでも書きましたがトウェインの持ち味である辛辣な風刺(彼自身は米軍によるフィリピン占領に関して反体制派運動を展開)は、反体制の精神から生まれたロックとマッチしている気がしました。当時の流行歌を光り輝くグラムロックに置き換えたとしても、時空を旅する44号ですからあり得ることです。それで、44号のまばゆい存在感とグラムロックをあわせました。
裏表紙(表4: 帯をつけた状態)
帯付きの裏表紙。右上の解説文は個々のイラストレーターが書いています。「面白そうなお話ですね。読んでみたいです」とおっしゃって下さる方がいらしてあり難かったです。「ラノベ?BL?」とも。ええ、そうです!大体そんな感じの物語です(笑)それに哲学やスピリチュアルやバイオレンスが盛り込まれていて、D・リンチの「ワイルド・アット・ハート」を連想させます。(私はそう思った 汗)
44号は不思議なものを持っていて、そういったものをアウグストに披露します。その時代にはちぐはぐな。服装も1490年頃の衣類を調べた上でそういったところを反映しました。エナメルが出回るのは20世紀のことだそうですが、ギラギラさせたくてチョイス。肌が透けそうな青紫タイツにエナメルの黒い靴で彼の本性を表現しました。ダサいのと、かっこいいのと下品と上品のギリギリのラインで押し込んじゃえーみたいな(笑)
この帯の下には仕掛けがございます。めくってみますと・・・
帯なしの裏表紙。
・・・主人公のアウグストが44号にもてあそばれている図式のでき上がりです(笑)渡邉さんの「横位置にして巻く感じでどうでしょう?」とのアイデアにインスピレーションを得ましてこうなりました。強者と弱者、もてあそび、もてあそばれ・・・確かにBLでもいいかも??
原画
原画の背景はオペラピンク、桜色、パーマネントレッド、パーマネントイエロー・・・あと何だっけ?こういった色を混ぜたのですが、蛍光色って出ないんですよね。いつも私が使う色ではない色を使うという、珍しく攻めた配色。色の呼応を大事に大事に描きました。
渡邉さんのギラギラカバーと私の原画の2通りがあって、とっても楽しかったです。
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